大規模システムを構成しているサーバーはサーバラックと呼ばれる
サーバーを収納する設備の中で稼働しています。
サーバーとはインターネットなどのネットワークを通じて利用者にサービスを提供するコンピュータのことです。システムを構成しているコンピュータには必ずと言っていほどサーバーは存在します。現代は高度情報化社会と呼ばれ、私たちの生活に至る所でITは存在します。個人向けですと、オンラインショッピング、銀行やコンビニのATMの役割をするオンラインバンキング、スマートフォンで用いられるモバイル決済など提供されているサービスは、とても身近な存在です。ビジネスでは、企業や団体で利用する業務システムや工場の生産を管理する基幹系システム、携帯電話の通話を制御するシステム、コンビニやスーパーなどのPOS(販売時点情報管理)システム、人工衛星を利用する科学技術のシステムなど無数に存在します。その裏側にはインフラストラクチャの領域を構築する基盤システムが存在し、それぞれのサービスを支えています。基盤システムを構築しているコンピュータの中でサーバーは、システムの中心的な位置に存在し、とても重要な役割を担います。
サーバーとは、英語で書くと「Server」となり「サービス(Service)を提供する側」の意味を持ちます。利用者(ユーザー)からリクエストがサーバーに届き、サーバーはレスポンスを返す流れで通信をしています。代表的な例は「http」で、私たちがインターネットで情報収集をする際にサーバーに接続をしてWebサイトを閲覧する際に通信をしているプロトコルです。HTTPを用いたユーザーとサーバーのリクエストとレスポンスの解説は「HTTPリクエストとレスポンス」をご覧下さい。
サーバーとサーバの意味の違いはありません。しかし外国語をカタカナ言葉の表記として、サーバーやコンピューターやユーザーやデーターセンターなどは、長音符が連続しているため、どれかを省略する傾向にあります。特に日本のIT企業ではサーバ、コンピュータ、ユーザ、データセンターなど連続で長音符をつけない表現をします。当社サイトもこのページとサーバーダウンの原因のページ以外は「サーバ」として表記を統一しております。
コンピュータネットワークを通じて提供されるサービスの中で、サーバーは「サービスを提供する側」に対して、クライアントは「サービスを受ける側」になります。例えば、インターネットを通じてWebサイトを閲覧するときは、使用しているWebブラウザやパソコンやスマートフォンを指してクライアントと呼びます。サーバーなどで構成されているシステムをサーバサイドと呼ぶのに対し、システムに接続しているパソコンやスマートフォンをクライアントサイドと呼び、サーバーサイドを「共有」の概念であるのに対しクライアントサイドは「専有」というように両者は正反対の関係に当たります。
項目 | サーバサイド | クライアントサイド |
---|---|---|
概念 | 共有 | 専有 |
ハードウェア | サーバーやネットワーク機器などのITシステム | パソコン、スマートフォンなど |
ソフトウェア | WebサイトやWebアプリケーション | Webブラウザ、端末にインストールされている ソフトウェアやアプリケーション |
システムを構成しているサーバーはシステムの中心的な存在で、
システム全体をコントロールする司令塔のような役割があります。
サーバーの役割はシステムの中心的な位置に存在し司令塔のような役割を果たしていることです。ITシステムの外見であるハードウェアとしては、サーバーと配下のコンピュータ、そしてそれらをつなぐネットワーク機器で構成されています。その中でサーバーはシステムの司令塔となり各コンピュータやネットワーク機器に指示を出してシステム全体をコントロールしています。また、サーバーで動作しているソフトウェアは「何がしたいか、何をさせたいか」に応じたアプリケーションソフトが動いています。従ってサーバーは、アプリケーションソフトを動作させる主役でもあります。このようにサーバーはシステムの中で重要な役割を果たしており、サーバーを中心にシステムを見ていくことで、様々なシステムを理解することが容易になり、やりたいことを実現するシステムがイメージできるようになります。
サーバーの仕組みは性能にもよりますが、私たちが普段利用しているパソコンとほぼ変わりません。パソコンでは、表計算をする際はエクセル、文章を書くときはテキストエディタのソフト、プレゼンテーションファイルを作成するときはパワーポイント、画像を編集するときは画像編集ソフトと言ったようにパソコンにソフトウェアをインストールして利用します。サーバーも同様に必要な機能を利用するために様々なOSやソフトウェアをインストールしています。サーバーはクライアント(利用者)からのリクエストに応じて、事前にインストールしておいたアプリケーションで算出した結果をレスポンスで返すことが主な仕事です。
サーバーの種類は「環境」「用途」「仕組み」に沿って、分類することが出来ます。実際に利用されているサーバーの機能や仕組みをもとに、以下の表を見ていきましょう。
環境で分類する際は4つ存在します。物理サーバーとは1台のコンピュータに対して1つのサーバー(ハードウェア)の役割を担う一般的なサーバーです。仮想サーバーとは1台のコンピュータに対して複数のサーバー(ハードウェア)が存在しているかのように見せかける技術を用いたサーバーのことです。
物理/仮想 | 分類 | 概要 | 利用例/説明 |
---|---|---|---|
物理サーバー | 専用サーバー | ハードウェア一台を専有 | ビジネスシーンでハイスペックな性能を求めている時や、 高度なセキュリティコントロールをする場合など |
レンタルサーバー (共用サーバー) |
複数のユーザが共有で ハードウェアを利用 |
個人利用や小規模に展開しているサービス時に、 まずは安価で利用開始する場合など |
|
仮想サーバー | クラウドサーバー |
複数台に分散されたサーバーの 機能を必要に応じてリソース (IT資源)の提供を受けるもの |
サーバーで動作しているアプリケーションの機能の スペックや格納しているデータ量に応じて依存する。 サービスによってはサーバー負荷が高まったときに 自動的にに拡張(スケールアウト)するものもある。 |
VPS (Virtual Private Server) |
仮想的に利用者向けの環境を 構築して提供するもの |
サーバーに管理者権限を付与し ある程度の範囲内で独自のアプリケーションを インストールし業務利用をする場合など |
以下の表は一例を上げたものでしか過ぎませんが、サーバーは用途で分類すると数多く存在します。サーバーは「受動型」と「能動型」に大別できます。受動型は、従来利用されてきた、リクエストに応じてレスポンスを返す一般的な役割を果たすサーバーです。一方で能動型は、先端IT技術(AI、IoT、ビッグデータ、クラウドなど)で利用されている物が多く、サーバー自身が各機器に対して指示を出したり、異常があれば検知をしたりする機能を持っています。
受動型/能動型 | 項目 | 用途 |
---|---|---|
受動型 | ファイルサーバー | コンピュータ間でファイルを共有するための機能を提供する |
Webサーバー | Webサイトのコンテンツを表示 | |
DBサーバー | データベースを蓄積・管理 | |
プロキシサーバー | 企業ネットワーク内部と外部のネットワークの中継をする役割を持つサーバー | |
プリントサーバー | ネットワーク上に配置されたあるプリンタを複数の クライアントマシンから利用する際に用いられる |
|
メールサーバー(POP/SMTP) | メールを円滑に送受信 | |
DNSサーバー | URLからWebサーバーのIPアドレスを知るための機能 | |
SSLサーバー | インターネット上でのデータ通信を暗号化 | |
アプリケーションサーバー | 動的なWebサイトのページ作成に利用 | |
ディレクトリサーバー | 所有するユーザーやパソコンの数が膨大になる際に効率よく管理 | |
FTPサーバー | ファイルをサーバーに転送 | |
SSOサーバー | SSO(シングルサインオン)※1を実行する | |
DHCPサーバー | クライアントのIPアドレスの割り当て | |
NTPサーバー | 正確な時刻を配信する | |
SIPサーバー | IPネットワーク上で音声通話を利用する際、発着信や応答などの通話制御 (呼制御)の役割をする |
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Syslogサーバー | UNIX, Linux, Windows, ネットワーク機器など、 各種システムに記憶されている様々なログを集中管理 |
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能動型 | SNMPサーバー | ルータやスイッチなどのネットワーク機器を監視、制御するためのサーバー |
監視サーバー | サーバーやネットワーク機器などシステムを監視、制御するためのサーバー | |
RPAサーバー | RPA(Robotic Process Automation)の技術により、「サーバー上のロボット操作」と 「作成したロボットをユーザに配布」の役割 |
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BPMSサーバー | BPMS(ビジネス・プロセス・マネジメント・システム)※2を実行 | |
IoTサーバー | IoT(Internet of Things)デバイスを呼び出す場合の役割 |
※1:1組のID・パスワードによる認証を1度行うだけで複数のWebサービスやWebアプリケーションにログインできる仕組み
※2:国際標準であるBPMNで描かれた業務フローを実装しビジネス・プロセス・マネジメントを実現するために必要なITツール
項目 | 物理/仮想 | 特徴・説明 |
---|---|---|
アプライアンスサーバー | 物理 | 種類が豊富。オンプレミス環境であればメーカーにハードウェアを特注することもできる |
仮想 | クラウドやVPSでは種類が少ない為、物理サーバーで利用する事が多い | |
汎用サーバー | 物理 | 専用サーバーではインストールするOSやミドルウェアやソフトウェア次第で様々な機能を持つことができる |
仮想 | クラウドでは仕様が決まっている為、制約があり機能は限定される VPSでは擬似的に専有できる環境があるため、ある程度はカスタマイズができる |
仮想化とは、ハードウェアに対して仮想的な構成を設定し、その構成のハードウェアが存在しているように見せかける技術です。仮想化はサーバーの他にもネットワーク、PCのデスクトップなどにも用いられる技術で多くの場面で利用されています。サーバー仮想化は次のページで詳しく説明していますので御覧ください。
サーバーラックとはラックマウント型サーバーを収納する設備のことです。サーバーには「タワー型」「ラックマウント型(ラック型)」「ブレード型」の3種類の形状が存在します。ラックマウント型とブレード型の共通点は、ブレード型でも筐体をサーバーラックに収納する為、いずれにしても多数のサーバーを集約させたい場合はサーバーラックが必要になる点です。サーバーを導入する場合にどの形状を選ぶかは、構築するシステムの大きさやサーバーを設置する場所の条件で大凡決定します。それぞれ3種類の形状をもとにメリットとデメリットを比較してみましょう。
サーバーの形状は構成するシステムの規模感に合わせて考える必要があります。設置スペース、消費電力、リプレイス(機器交換)などに着目をしてメリットとデメリットをまとめました。
形状 | メリット | デメリット |
---|---|---|
タワー型サーバー | 小規模な構成やスモールスタートで適している | 台数が増えると設置スペース確保を考えなければいけない |
ラックマウント型(ラック型)サーバー | 中〜大規模のシステム構成に適している | 消費電力が一番多い |
ブレード型サーバー | 大規模システムでも省スペースで収納でき 消費電力も抑えることができる |
メーカー乗り換えの際に筐体ごと 総取替となるため費用が高額になる |
タワー型サーバーは少ない台数で運用する小さなシステムに向いています。設置する際も特別な設備が不要なため、サーバールームが無いオフィスなどにも、そのまま据え置くことができます。ただし単体で設置するのが前提の設計のため、台数が増加するとかさばります。サーバー機能を拡張したり、上位のものに交換したりする方法が適しています。
ラックマウント型(ラック型)サーバーは、複数のサーバーを組み合わせて構築する大きなシステムに向いています。サーバーラックなどの設備を要しますが、多数のサーバーを効率よく収納できるため、全体の体積を小さくできます。サーバーラックとは、一般的には幅19インチの棚に平積みに設置します。1段分が1U(ユニット)の単位で高さは1.75インチ(4.45cm)です。ラックマウント型は、サーバー単体の拡張性はあまり高く無く、機能を拡張する場合にはサーバーの台数を増やすのに適しています。
ブレード型サーバーは、限られた空間により多くのサーバーを設置し、システムを集約したいときに有効です。タワー型やラックマウント型に比べて高額なため、予算が確保できないと導入は困難です。電源や冷却装置をサーバー間で共有するので部品の点数が少なく保守しやすい利点があります。一方、筐体(シャーシーまたはエンクロージャーと呼ばれます)に押し込むサーバー本体にはサイズなどに業界標準の規格が無く、一度導入するとメーカーを乗り換えにくいデメリットもあります。
サーバーをレンタルするには、レンタルサーバーのサービスを提供している会社に申し込む必要があります。レンタルサーバーは個人でも利用できるサービスなので低価格で手軽に申し込むことができます。サーバーのスペックが上昇すると高額なサービスになりますが、利用用途に応じてサーバースペックを選択し申し込むことで、サーバー機器を購入し自身で保有し運用するよりも、ずっと安価に利用できます。
当社は「さくらインターネットグループ」に位置する中核子会社です。20年以上のシステム運用監視サービス提供と国内有数の豊富な運用実績で、多くのお客様にご支持を頂いています。さくらインターネットは、同じく20年以上、レンタルサーバやクラウドを始めとしたインターネットインフラサービスを提供する事業者です。その中でもレンタルサーバーサービス(さくらのレンタルサーバ)は15年以上の歴史があり、今では45万以上のユーザが利用している非常に大きなサービスです。
サーバーレスとは、企業や団体が所有物としてサーバーを保有しないことを意味します。昔は企業がサーバールームなどのスペースを確保し自社でサーバーやネットワーク機器などのコンピュータを保有するシステムを運用することでオンプレミス環境と呼ばれていました。しかし現在では、クラウドサービスの普及で自社でコンピュータを保有しなくとも、サーバーを中心としたシステム環境を利用できる技術が発展しました。サーバーレスはこれからも普及し続け、ユーザがどこのサーバーを利用しているか意識しないような感覚でクラウド環境を通じて、様々なインターネットを通じたサービスを利用していることでしょう。
データセンターとはサーバーやネットワーク機器などのコンピュータを収納する専用の建物です。データセンターの特徴や建物の構造やセキュリティの観点で対策を行っていることを詳しく解説します。
プライベートクラウドとは企業の業務などに特化したクラウド環境を構築し、インターネットなどのネットワークを通じてサービスを提供するクラウドサービスです。プライベートクラウドの特徴や型式を解説していますので詳しくは次のページを御覧ください。
クラウドサービスは主に3種類の名称が存在します。ソフトウェアなどの機能は「SaaS」、データベースやプログラム開発機能などのプラットフォーム環境は「PaaS」、ハードウェアやネットワークなどのインフラストラクチャは「IaaS」と分類されます。
システム運用の大まかな定義は24時間365日、問題なくシステムを稼働させるための業務です。システムを構成しているサーバやネットワーク機器はコンピュータで精密機器のため、突然故障する可能性もあります。それがシステム障害の原因になるため、エンジニアが障害を未然に防止するような対策や業務を行ったりバックアップをとるようなシステム構成を考えたり、様々な知識や技術を用いながらシステム運用の業務に取り組んでいます。従ってシステム運用とは、システムの正常状態を維持し、状況に合わせて変化、拡張させることを意味します。
アイティーエムはシステムマネジメント事業を主軸とするMSP事業者です。当社が考えるMSPは「MCSSP」と呼び、新しいシステムマネジメントサービスの形態です。
MCSSP = 「MSP(Managed Service Provider)」+「CS(Cloud & Security)」
従来から存在するMSP(Managed Service Provider)事業をベースとして、昨今のIT環境にて特に注目されている「クラウド利用」と「セキュリティ対策」をより強化したサービスでお客様の安心・安全で、快適なシステム運用をご支援します。
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