技術営業は技術検証(PoC)などを行い、
より技術よりで具体的な提案を行う役割があります。
技術営業(テクニカルセールス)とは、技術のバックグラウンドや専門知識を活かして顧客へ営業活動を行う職業です。現代のITを取り巻く環境は過酷です。エンジニアが技術を学習して経験を積んでも、年月とともに技術は進化し続け、置いてけぼりにされてしまうほど技術の進化は早いです。中には目を見張るほどの新しさではなくとも、すでに同じ技術ではないものも多く存在します。しかしクライアントはITエンジニアが専門としているのにも関わらず技術の進化についていくことがやっとであっても、理屈を省略し使いこなしてしまいます。ユーザは「新しいサービスに貪欲ではなく、既存のままで良いと思う」と「目の前の問題ばかりに重点を置き、遠い将来性については考えない」と2つの傾向があることが特徴です。クライアントのキーマンは将来のことを、クライアントのユーザは今のことを語る中、その方針を調整してプロジェクトを立ち上げるのがテクニカルセールス(技術営業)またの名をセールスエンジニアです。
技術営業に向いている人を簡単に言うのであれば、理系の「ロジカル・シンキング」と文系の「ラテラル・シンキング」を上手く使いこなせる人です。ロジカル・シンキングとは、一貫していて筋が通っている考え方、あるいは説明の仕方のことを意味し、日本語では「論理的思考」と言います。ラテラル・シンキングとは、問題を解決するために固定観念や既存の論理にとらわれず「物事を多角的に考察する」「新しい発想を生み出す」ための思考法で、日本語では「直感的思考」や「水平思考」などと呼ばれます。技術営業はエンジニア部門で培ってきた技術を営業分野で活かし、エンジニアリングの実務や技術の研究開発だけではなく、専門的な知識をもとに、コミュニケーション力で顧客に専門的な観点で提案をするなどを行い、顧客の課題をITによって解決に導きます。
IT業界の技術営業の将来性は、主に「IT需要の高まりと技術進化」「グローバルな視点での取り組み」「コンサルタントまで視野に入れた業務範囲の拡大」の3つの観点から見ていくと、各企業からの需要が多く重宝される職種であることがわかります。
社会的にITの需要が高まり、技術が今後さらに進化しつづける可能性があります。ITインフラの分野ではインフラエンジニアの将来性でも説明をしていますが、現代社会はITインフラ無しには成立しないと言っても過言ではなく、人々が生活をする為の水道・電気・ガスと同じくITも絶対必要なインフラであるため、ビジネスの世界においても必須で需要も高まります。特に「先端IT分野」と呼ばれている「AI(人工知能)」「ビッグデータ」「クラウドコンピューティング」「IoT(Internet of Things)」「ロボット」「セキュリティ分野」は、これからの時代、社会のあらゆる場所に技術の普及が見込まれます。これらの専門知識を持つ技術営業は、今後多くの企業から歓迎される形になるでしょう。
IT分野で事業展開をしている企業は日本だけではなく海外企業も多く存在します。技術やIT機器は海外製のものが多く、日本でも取り入れてビジネスシーンで利用されているものが多数存在します。また海外のIT企業の方も日本人と仕事がしたいと思う人が、たくさん存在し新しいITを日本でも使ってほしいと思う人や、日本で一山当てたいと思う野心家が存在します。そのような中で、日本人に新しいITを説明しても理解が進まないようであれば、逆に日本の技術営業(セールスエンジニア)として海外に飛び立ち、世界で試してみることも可能です。また、現代はインターネットの技術を利用し世界中の人々と繋がることが出来ます。インターネットを通じて世界中の人たちと場所にとらわれず働くこともでき、国内で生活をしつつ海外の人たちとビジネスで繋がることも可能です。
技術営業の仕事を続けていくと、コストダウン、効率性アップなどをITを使って提案するため、ITについて詳しくなります。仕事の成果は、顧客の課題をITで解決し、顧客の業務の流れを再構築し現場が変わり、生産性向上により顧客の売上増加や利益増加など数字になって現れてくる場合もあります。ITを使ったビジネスコンサルティングは、人を教育したりリーダシップを発揮したりすることを行い、仕事をドライブさせていきます。一昔前は人件費をいくら下げられたか、同じ作業をするのにどれだけ時短できたかなどに留まりましたが、これからの時代は単に効率性を上げるより、新規ビジネスや新しいマーケティング手法、指導する人の新規スキル発掘と育成により大きな成果につながることをが求められます。このように技術営業はIT専門知識を活かしプロジェクトマネジメントや人材育成などの分野にも参画することで、ITコンサルタントとして転身できる可能性があります。
技術営業はエンジニア部門と営業部門の中間的な位置で役割を果たすため、両方のキャリアパスが描けます。技術的に論理的思考が強ければエンジニア部門に戻り全体を統括するシステムエンジニアや、業務で活かすために職人のように自身のスキルを磨き続けるインフラエンジニアに回帰することも視野にいれることが出来ます。
一方で直感的思考も磨き営業部門で挑戦を続けたい場合は、プロジェクトを統括する役割のITコンサルタントに転身できる可能性があります。ITインフラの領域であればエンタープライズアーキテクト(EA)のテクノロジー・アーキテクチャの部門で専門的な知識やスキルを発揮できます。テクノロジー・アーキテクチャとはネットワーク、ソフトウェア、ハードウェアといった、ITに関する専門的な設計書や構成図などの資料を作成し顧客に提示するなどエンジニア部門の知識がなければ作成することは出来ません。技術営業で経験した技術よりの提案を活かし、経営目線で顧客の課題をITインフラで解決に導くことがITコンサルタントのテクニカル・アーキテクトとして求められます。